神戸牛懐石511 HOME >> 511×WINE
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神戸牛の風味で最も個性的なところは、やわらかな肉質のなかにたっぷりと含まれた旨み、そして美しい刺繍のように織り込まれた脂身の甘みです。皆様に飲んでいただきたい素晴らしいワインはたくさんありますが、今回のセレクトで何よりも重視したのは、神戸牛の風味を引き立てるワインであるかということです。
ワインを肉料理に合わせると言っても、ただ赤ワインであれば良いということはありません。咀嚼(そしゃく)することで旨みが現れるトスカーナのステーキなら、鉄っぽさを感じるほどにタンニンの強い赤ワインをお勧めしたいし、獣や血の風味が強い野鳥獣肉なら、個性的で風味豊かな赤ワインをお勧めしたいのです。
そこで神戸牛を引き立てることとは何かを考えると、やわらかな肉質や旨み、甘みをだいなしにすることなく、華やかで豊かな風味でもってやさしく包み込むようにしてあげることだと思います。高級店だから高級ワインだけを置けば良いというのではなく、また和牛にこだわっているのだからワインはほどほどで良いということでもなく。
ワイン・リストには様々な産地や品種、グレードのワインを揃えています。プライベートやビジネスなど、皆様の様々なご要望にお応えしたいためです。色々なワインがあるなかにも、ひとつの考え方で揃えられたということをご理解いただければ幸いです。
また、調理法によっては和牛料理とは言っても、軽くもなれば重くもなります。そこで赤ワインばかりにこだわらず、スパークリング・ワインや白ワインにも最大限のこだわりをもって臨みました。肉料理にスパークリング・ワインや白ワインというのも、とても愉しい組み合わせになります。
ワインはグラスの違いによっても美味しさが引き立ったり、だいなしになったりします。せっかくの美味しいワインであるはずなのに、グラスのミスマッチによって美味しさが引き立たないというのはあまりに残念です。今回の試みでは高級ワインバーやフレンチ・レストランにも引けを取らないほどに、ワインとグラスの相性にもこだわりをもってみました。ワイン・グラスとして最も定評のあるリーデル社製のラインナップのなかから、様々なワインに対応できるように5種のタイプを揃えています。また、グラスのコンディションを整えるために、すべてのオープニング・スタッフは同社グラス・エデュケーターの指導を受けています。
様々な食器を選んでいくなかで、辻村史朗先生の力強く存在感を示すぐい呑みと出あうことができました。はじめは少し抵抗感があったのですが、この器でワインを飲んだらどのように感じるのだろうという好奇心が湧きました。実際、使ってみると、若くて堅く閉じぎみの高級ワインが、ぐい呑みが持つ形状や質感により、豊かな香りを放ち始めるのです。通常のワイングラスが透明感のあるにじみのない味わいで表現するのとは対照的に、ぐい呑みは温かく丸みを持った味わいとして表現します。とくにボルドーやカリフォルニアのワインとの相性がよく、土の豊かな風味を十分に愉しむことができます。もちろん通常通り、ワインをデキャンタに移しかえてのサービスも行いますので、その表現の違いを視覚や嗅覚、味覚でご体験いただくのも愉しいと思います。
きちんと温度管理された健全なワインであっても、サービスされた際に適温からずれてしまうと、美味しさが引き立たないことがあります。緑茶やコーヒー、紅茶が冷めると渋くて苦くて飲めないのと同じことです。もちろんワインの品質管理のために、店内には大きなワイン・セラーを造作してはいますが、今回はそれ以上にこだわりをもってワインをサービスしたいと考えています。「冷やさない」と言われる赤ワインにしても、その美味しさを引き立てるためにちょっとだけ冷やしてみたりします。あるいは、シャンパーニュをあまり冷やし過ぎないでお出しすることもあります。そうすることで、神戸牛との相性がぐんと良くなります。
新聞社勤務のあと、ワイン・スクールの立ち上げを行い、日本におけるワイン・スクールのビジネス・モデルおよびビジネス・コンテンツの基礎を作りあげる。長年にわたって、「ワイナート」(美術出版社)など、多くのワイン誌に寄稿する他、マンガ「神の雫」(講談社)でのコラム執筆やドラマ版「神の雫」(日本テレビ)での監修なども行う。2010年1月から「大人の習い事 斉藤研一のワイン入門」(BSジャパン)のナビゲーターを務める。著書は、「世界のワイン生産者事典」(小学館)、「ワインラヴァーズブック」(グラフ社)など多数。石井文月のペンネームで出版した「ワインの基礎力Step70」は、もっとも信頼されるワインのテキストとしてロングヒットとなっている。最新刊「世界のワインガイド」(小学館)、好評発売中。
